丸毛信勝 設計コース

丸毛信勝 (まるものぶかつ) 氏が設計したゴルフ場を紹介 (1892年～1977年)。丸毛信勝は、大分県臼杵市出身の昆虫学者、農学博士、そしてゴルフ場設計者として知られています。彼の多才な経歴は、日本のゴルフ場設計に大きな影響を与えました。臼杵藩士の家系に生まれた丸毛は、旧制杵築中学校を卒業後、東京帝国大学農学部に進学し、昆虫学者の三宅恒方に師事。1921年、29歳で農学博士の学位を取得し、蝶の研究において権威とされ、日本昆虫図鑑の作成にも携わっています。その後、ドイツに留学し、帰国後は釧路女子短期大学の学長を務めるなど、学界での地位を確立しました。彼のゴルフ場設計者としてのキャリアは、芝生の害虫調査の依頼から始まっています。旧制杵築中学校の海軍中尉・吉良俊一からの依頼を受け、イギリスやアメリカのゴルフ場を視察。その結果、砂地でも芝生が根付く技術を解明し、当時の「砂地には芝は根付かない」という定説を覆しました。この研究成果は、川奈ホテルゴルフコースの造成工事に参加する際にも活かされました。彼はコースが見渡せる丘陵地に自宅を建てるほど、このプロジェクトに深く関与しました(wikipedia の記事を一部引用しています)。芝生研究からゴルフ場設計への道に入り、静岡県富士市の大富士カントリークラブ、香川県坂出市の高松カントリー倶楽部といったゴルフ場の設計に関わっていきます。丸毛の設計哲学は、自然との調和を重視し、既存の地形や植生を最大限に活かすことにありました。また、芝生の専門家としての知識を活かし、最適な芝種の選定や管理方法を導入することで、コースの品質向上にも寄与しています。

大富士ゴルフクラブ

大富士ゴルフクラブ (GORA)

静岡県の大富士ゴルフクラブは、富士山南麓に位置する溶岩地帯に造成された、歴史と自然が調和するゴルフ場です。この地は富士山の噴火によって形成された溶岩層が広がる開発困難な地域であり、その特異な環境を活かして設計されています。芝草研究の権威として知られる農学博士・丸毛信勝氏によって、当時としては画期的な砂地に芝を張る技術を駆使して、初めて成功したゴルフ場とされています。建設は機械をほとんど使わない手作業で行われ、溶岩を砕き、芝を張るという労力を要した作業の連続だったようです。現存コースは、日本の「手作り時代」を象徴するジャパンクラシックコースとして、現在も愛されています。「大富士ゴルフクラブの詳細ページ 」。